はじめに
建築設計の現場で最も多いトラブルのひとつが、
「図面ミス」。
特に新人のうちは、
図面の描き方が“机上の空論”になってしまいがちです。
今回は、実際に私や同僚が現場で怒られた図面ミスを3つ紹介します。
同じ失敗を繰り返さないように、ぜひ参考にしてください。
1. 寸法が“芯”じゃなくて“仕上げ”で描かれていた【構造とズレる悲劇】
【失敗の内容】
内壁の配置寸法を「仕上げ面」から取ってしまい、
柱や梁の芯とずれてしまった。
その結果、構造図と整合が取れず、現場で施工が止まる事態に…
【現場での一言】
「お前、この壁、何を基準に描いた?梁ズレてんぞ!」
【学びポイント】
• 図面は基本“芯々”寸法で描くのが原則
• 構造・設備・意匠で「基準線」がズレないように、最初に共有・確認を
• 芯と仕上げの違いを理解しないと、大事故につながる
2. 記号と実物が一致していない【換気扇の謎の配置】
【失敗の内容】
図面上では“天井換気扇”の記号を描いたが、
実際には壁付け換気扇を指定していた。
現場が迷い、施主から「図面と違うじゃないか」とクレームに。
【現場での一言】
「このマーク、天井用だよな?壁にどうやってつけんの?」
【学びポイント】
• 記号は“業界共通言語”。意味を理解せずに使うと誤解を招く
• 記号の凡例や仕様書との整合性は徹底確認
• 図面は「見た人がそのまま施工できるレベル」で描く意識を持つ
3. 建具の開き勝手が逆だった【ぶつかるドア地獄】
【失敗の内容】
洗面所とトイレの建具を両方内開きで描いてしまい、
開けた瞬間ぶつかる配置に。
最終段階で気づき、現場が手直し対応。
時間とコストに影響。
【現場での一言】
「この配置、ドア2枚開けたら人通れねえから!」
【学びポイント】
• ドアの“開き勝手”は、動線と安全性を意識して設定
• 必ず「開いた時のクリアランス」を図面上でチェック
• 複数建具がある場合は、「ぶつかるか・干渉するか」を確認する習慣を
まとめ:図面ミスは誰にでもある。でも、
図面ミスは、経験が浅いうちは避けられない部分もあります。
でも、「なぜ怒られたのか」を振り返ることで、
次からの精度は確実に上がっていきます。
描く前に考える。
描いた後にチェックする。
この基本を丁寧に積み重ねることが、設計者として信頼される一番の近道です。