設計初心者が最初に覚えておくべき図面ルール5選|現場で恥をかかない基本の“キ”

建築士基本情報

はじめに

「建築設計を始めたけど、図面の描き方がわからない」

「上司から『この線、意味わかって描いてる?』と怒られた…」

そんな悩みを持つ新人設計士の方も多いのではないでしょうか。

図面は、建築士にとっての“共通言語”。

建築現場、施主、役所、すべての関係者がこの図面を頼りに動いています。

だからこそ、図面には「最低限守るべきルール」が存在します。

この記事では、

設計初心者がまず覚えておきたい5つの図面ルールをわかりやすく解説します。

1. 【線の種類と太さ】意味を持った“線”を描こう

図面上の線には、ちゃんと意味があります。

線の種類

意味

太さ(例)

実線(太)

構造体・壁・柱など主要部分

0.5mm~0.7mm

実線(細)

建具や仕上げ・家具など

0.3mm程度

破線

見えない部分、天井裏など

0.2mm

一点鎖線

中心線・寸法基準線など

0.2mm

線の使い方が雑だと、

「何を表しているのか」が伝わらなくなります。

CADでも手書きでも、

「この線は何の線か?」を意識して描きましょう。

2. 【寸法の入れ方】“わかりやすい順序”が信頼を生む

初心者がよくやってしまうのが、

寸法をランダムに入れてしまうこと。

寸法には入れる順序と意味の階層があります。

基本の順序(外から内へ)

1. 敷地寸法

2. 建物外形(芯々・壁芯)

3. 開口部寸法(窓・ドア)

4. 室内寸法(部屋の広さ)

5. 細部寸法(カウンター、棚など)

ルール通りに並んだ寸法は、見た人に安心感を与えます。

現場で混乱が起きないよう、

寸法は「伝える順序」を意識しましょう。

3. 【図面の縮尺】スケールが違えば全てが狂う

図面には必ず「縮尺」があります。

例:1/100、1/50、1/20

縮尺が違えば、実際の寸法や配置も大きく変わります。

基本の使い分けは以下の通りです。

縮尺

用途

1/100

平面図・立面図など全体

1/50

室内詳細・構造図

1/20

細部詳細(キッチン、洗面台など)

1/10~1/1

金物や特注部材の製作図など

図面の右下に「S=1/50」などの記載を忘れずに!

4. 【図名・図番・凡例】“伝わる図面”は情報の整理から

図面の読みやすさを大きく左右するのが、

図名・図番・凡例(記号の説明)です。

• 図名:何の図面かを明記(例:「1階平面図」「南立面図」)

• 図番:図面の管理番号(例:「A-101」「D-203」)

• 凡例:使用している記号・素材の説明(例:□はコンセント、■はスイッチ)

図面は複数枚に及ぶため、

情報を整理して伝える技術も設計者には必要です。

5. 【法規チェック】「描ける」より「通る」図面を

どんなに美しい設計でも、

建築基準法を守っていなければ建てることはできません。

初心者のうちは以下のような「基本法規」だけでも押さえておきましょう。

• 道路幅員と接道義務(建築基準法42条)

• 建ぺい率・容積率(用途地域ごとに異なる)

• 高さ制限(北側斜線制限・日影規制など)

• 採光・換気の基準(窓の大きさと位置)

設計とは、

「法の枠内で最大限のアイデアを実現すること」。

“通らない図面”は、どれだけ立派でも「机上の空論」になってしまいます。

まとめ:図面は「図」+「文」+「思いやり」

図面はただの絵ではありません。

情報を正しく、分かりやすく、

誰にでも伝えるための「図」と「文章」の集大成です。

そして何より大事なのは、

「見る人の立場になって描くこと」。

職人さん、確認審査の担当者、施主。

すべての人に「この図面なら安心して仕事ができる」

と思ってもらえることが、設計士としての第一歩です。